奄美大島には個人的に見ておきたいヒシバッタが2種類いますが、そのうちの1種がこの美しいヒシバッタです。
ヒシバッタと言えば茶色で小さくて地味なイメージですが、この種の美しさはバッタの中でもトップクラスだと思います。
前回訪れたときは時期のせいか見ることができませんでしたが、今回は何度か見ることができました。
これほど巧妙に苔に擬態した姿をしているのに、全て苔の中に落ちている落ち葉の上や、森の中の手すりなどで見つけました。
注意していたのに苔に隠れている個体は見つけられなかったので、この種はわざわざ目立つ所に出てきているのでは…などと考えてしまいましたが、巧妙すぎて見つけられていないだけなのでしょうね。
月: 2017年10月
オオトラツグミ(Zoothera major)
奄美大島に行ったら必ず探す多くの固有種・固有亜種の中でも、トップクラスの難易度とされているオオトラツグミを2度目の来島で撮影することができました。
疲れてダラダラとお弁当を食べているときに同行者さんが見つけて呼びに来てくれて、目の前で撮れると聞いた驚きから箸を落としてしまいました。
何年か前には見るのはほぼ不可能と言われていましたが、3年前には多くのさえずりを聞くことができ、今回は姿を拝むことができました。
生息数は順調に増えているらしく、暗いニュースの多い生き物の保護関係の中では珍しく嬉しくなるニュースです。
この調子なら簡単に見られるようになる日も近いのかもしれません。
しかし現在奄美大島ではノネコが問題になっていて、それなりの数のオオトラツグミも犠牲になっているのかもしれません。
現地では多くの方々が対応対策に奮闘していると聞きましたが、ノネコの問題は奄美大島だけでなく日本全体での問題です。
ひとりひとりの意識を変えていかなければならないでしょうね。
この場所では寝転んでいたら目の前に来てくれたと思ったら奥にももう一羽いて、さらに真上の木にも一羽飛んでくるというミラクルが起きました。
しばらくしてから再び見た時に、一羽が別の一羽に翼を震わせて給餌をねだる動きをしていたので、親子だったのでしょう。
だとするとこの成鳥は人間に近づきすぎる我が子が心配になって見に来たのかもしれません。
鳥を撮るときはある程度の距離からは向こうから近づいてくるのを待つのを意識していますが、やはり生き物との適切な距離というのは難しいです。
オオトラツグミは日本鳥類目録改訂第七版ではトラツグミの亜種とされていますが、ioc birdlistなどでは独立種とされています。
鳴き声など明らかに違いがあり、独立種として扱うのが適切なのではないかと思っています。
ちなみに冬は奄美大島にもトラツグミはいるらしいので、同定には注意が必要ですね。
サスマタアゴザトウムシ(Nipponopsalis abei)
昨日まで奄美大島に遠征に行ってきました。
もちろん目当ては固有種の生き物達でしたが、思いがけずこんな生き物にも出会うことができました。
サスマタアゴザトウムシ雄(奄美亜種)
とんでもない顎を持つこのザトウムシ。
分布は広いですがどこでもそれほど多いというわけでもなく、さらに主に夜行性なので関東で見られる気がしないそんなザトウムシです。
残念ながら自力で見つけたわけではないですが、こんな不思議な生き物を撮影させてもらえたのはとてもありがたいです。
奄美に多いギンボシザトウムシとは明らかに違う雰囲気をまとっていて「これは?」と聞かれ見に行った瞬間サスマタだとわかりました。
この顎を使って獲物を捕まえ、切り刻んで食べるらしいです。
残念ながら数枚撮ったら石の隙間に潜り込んでしまったので次はちゃんと動いてるところも観察してみたいです。
アオカナヘビ(Takydromus smaragdinus)
ヨダンハエトリ(Marpissa pulla)
ずいぶんと長い間縁の無かったこのハエトリグモに先日やっと出会うことができました。
なんてことのない公園や屋敷林に生息していて、身近なハエトリグモとしてはアオオビハエトリと並ぶ美麗種です。
普通に人家の近くでも見られるクモなのに何故今まで出会えなかったのかは謎です…
名前の由来である腹部の模様が美しいですが、この個体はまだ成体ではないからなのか黒い毛穴が目立っていますね。
触肢が大きくないので雌だと思います。
ハエトリグモの顔はクモの中でも特に愛らしくて好きです。
この大きな目で明らかにこちらを認識して動いている様子がハムスターなんかに似ていて愛着がわくのかもしれません。
個体によってはこっちが動いてもずっと見つめてきたりもして萌えますね。
次は成体の雄を見つけたいです。